お気に入り記事
移転しました。
柴犬速報はこちらに移転しました。

http://shibasoku.livedoor.biz/

スポンサーサイト はてなブックマーク - スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


←面白いと思ったらクリックお願いいたします。
はてなブックマーク - スポンサーサイト [ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-)

妹「お兄ちゃん、私…結婚する」 はてなブックマーク - 妹「お兄ちゃん、私…結婚する」

以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/26(水) 01:15:27.37 ID:qzPueqo20
scene01

-アパートの一室-


妹「お兄ちゃん、私…結婚する」

兄「ん…そうか…」

妹「今まで…ありがと」

兄「ああ…」


今日、妹が一人の男を連れてきた。

二人で生活していた五年間でも、一度もなかったことだ。


男「お、お兄さん、はじめまして。妹さんとおつ…つ…お付き合いさせてて…」

兄「そんなに…硬くならなくても大丈夫ですよ?」

男「は、はいッ」


この男と名乗る人物は、妹の婚約者だそうだ。



以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/26(水) 01:18:25.06 ID:qzPueqo20
妹「彼は警察官でね…とても優しくて真面目な人よ」


なるほど、言われてみれば大きな肩幅が逞しい。


兄「(紺のスーツは…この汚いアパートには不釣り合いだな)」


そう思うと少し可笑しくなった。


妹「お兄ちゃん…?」

兄「いや…妹が婚約者を連れてきてくれたのが嬉しくてね」

妹「お兄ちゃん…」

男「あ…その…、どうも…」

兄「いえ…もう少しリラックスしていただいても…」

男「あ…すすすすいませんッ」

妹「もう…」


妹は男の隣で笑っていた。


以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/26(水) 01:21:51.50 ID:qzPueqo20
scene02

-アパート前-


男「本日はお招きいただき、ありがとうございましたッ」


この男は終止こんな調子だった。


兄「(好漢って…こういう男のことを言うんだろうな)」

兄「いえ、こちらこそわざわざ遠いところまで来ていただいて…こんな夜遅くまで…。それに、汚いアパートで…。これでも頑張って掃除したんですが…」

妹「もうちょっと頑張れたと思うんだけどなぁ」

兄「厳しいな…。あんまり恥をかかせないでくれよ」

妹「恥をかくのは、わ・た・しッ」

男「はは…お二人は本当に仲がよろしいんですね」


なぜだろう。

男君のその言葉に…少しだけ胸が痛んだ。


以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/26(水) 01:23:15.01 ID:qzPueqo20
妹「…それじゃあ、帰ろっか?」

男「そうだね…。お兄さん、また遊びに来させていただいてもよろしいですか?」

兄「ええ、いつでも来てください。もうすぐ弟になるわけですしね」

男「はいッ、ありがとうございます」

妹「じゃあね…お兄ちゃん」

男「失礼します」


二人を乗せたタクシーが見えなくなってからも、俺はしばらくその場に佇んでいた。


それはもう、桜が舞う頃の、不思議な出来事です。


10 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/26(水) 01:25:57.88 ID:qzPueqo20
scene03

-アパートの一室-


二人が帰った後の部屋は妙に片付いていた。

俺が男君と話している間に妹が気を利かしてくれたのだろう。


兄「(本当に…良い嫁さんになりやがって…)」

兄「(……)」

兄「(今日はもう寝るか…)」


と、踵を返した俺の視界の端を鮮やかなものが掠めた。

部屋の片隅に放置されていたもの、それは真っ赤なマフラーだった。


11 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/26(水) 01:27:56.74 ID:qzPueqo20
兄「(このマフラーは…妹の?)」


三月とはいえ、この時期は夜になるとまだまだ冷え込むことがある。


兄「(忘れて帰ったのか…。しっかりしてるように見えて、こういうところもあるんだな…)」

兄「(…すごく…神秘的な色だな…。深紅ってこういう色のことを言うのか…)」


そしてマフラーを手に取った瞬間、不意に、懐かしい香りが俺の身体を包んだ。


兄「(なんだろう…何故だかわからないけど…安心できるような…この感じ…)」

兄「(…って俺は妹のマフラーで何やってんだ)」

兄「(やっぱり…今日はもう寝よう)」


俺はリビングを後にした。
13 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/26(水) 01:30:02.91 ID:VscyV47g0
支援するよ!もう寝るけど!もう寝るけどね!!


14 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/26(水) 01:30:31.23 ID:qzPueqo20
scene04

-翌日、アパート-


Rrrrrr…


耳によく響く電子音が、俺を覚ました。


兄「(う…ん…着信…)」


『着信:妹』


出ないわけにはいかなかった。


15 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/26(水) 01:31:32.55 ID:qzPueqo20
兄「…はい、もしもし」

妹「あ、お兄ちゃん? …寝てた?」

兄「あー…いや、うん…」

妹「ごめんなさいッ。じゃあ…また後でかけ直すね」

兄「いや…別に俺は大丈夫。それで?」

妹「あ…うん、その…昨日は夜遅くまでありがとうって思って…。それに、結構…突然だったじゃない?」

兄「うんまぁ…でも…俺はいつでも暇だからさ。どっちかっていうと、そのために妹からかかってきた電話の方が…ビックリ…したし…」

妹「…うん。長い間…連絡してなくてごめんね…」

兄「あ、謝るのはさ…俺の方…。なんかちょっと気まずくて…連絡取らなくて…」

妹「ううん…。ちょうど二年くらい…だよね」

兄「…ああ」


17 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/26(水) 01:32:37.04 ID:qzPueqo20
俺と妹は二年前まで同じ家に住んでいた。

その後は、一週間前にかかってきた妹からの電話まで一切連絡を取っていなかった。


兄「家を出たのは俺だからさ…」

妹「でも…原因を作ったのは私だから…。私の手紙のせいで…」

兄「原因? 手紙ってーー」

妹「あーもうッ。この話はおしまい!」

兄「え…あ、ああ…」


19 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/26(水) 01:33:17.92 ID:qzPueqo20
妹「ねぇ…お兄ちゃん、またさ…今度の日曜日…とか、会えない…かな?」

兄「別に俺は…かまわないけど…。男君とだよね?」

妹「あ…その…二人で…なんだけど…。駄目…かな?」

兄「…いや、俺は大丈夫」

妹「…よかった。ねぇ、家の近くにある美術館とか…どう? お兄ちゃんも…結構絵とか好きだったよね?」

兄「そうだな…。うん、そこでいいよ」

妹「じゃあ決まりッ。詳しい時間とか…また後でメールするね」

兄「わかった…」

妹「それじゃあね…ばいばい」

兄「ああ…」


20 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/26(水) 01:33:19.22 ID:VscyV47g0
いいよいいよ!どんな文でも俺が受け止めてやるよ!


21 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/26(水) 01:34:45.20 ID:qzPueqo20
兄「(妹…急にどうしたんだろう…)」

兄「(そういえば…手紙って何のことだ…?)」

兄「(…何か思い出せそうで…思い出せない)」


ゾクッーー


兄「(なんだ…頭の奥が疼くような…)」

兄「(駄目だ…気持ち悪くなってきた…)」


もう俺は、これ以上そのことについて考えることはできなかった。


23 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/26(水) 01:36:45.52 ID:qzPueqo20
scene05

-翌週の日曜日、妹宅近くの駅前-


『お兄ちゃん、こんにちわ。

 明後日の予定だけど、三時に駅前で待ち合わせでも大丈夫ですか?

 美術館の後は駅裏のラーメン屋さんでご飯食べようね。

 長い間行ってない…よね?

 もし何かあったら電話ください!

 日曜日を楽しみにしています』


兄「(二時過ぎか…。ちょっと早く着き過ぎたかな)」


一昨日妹から届いたメールを見直しながら、俺は妹の到着を待っていた。


24 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/26(水) 01:37:27.74 ID:qzPueqo20
妹「お兄ちゃん」

兄「ん…? なんだ…妹も結構早いんだね。まだ二時だよ?」

妹「お兄ちゃん…いつも絶対遅刻しないように早めに出かけるじゃない?」

兄「まぁ…そうだけど…」

妹「じゃあ行こッ」

兄「あ…おい…」


昔は二人でよく歩いた路地裏。

昼間はそこそこ人通りがある。

でも、この道を歩くことはもちろん、妹と普通の会話をすることでさえ本当に久しぶりだった。

当時はまさか別々に暮らす日が来るなんて思ってもみなかった。

妹は大人になっていくし、恋人ができて、きっと誰かと結婚して…。

そんなこと、考えたくなかったんだと思う。


25 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/26(水) 01:38:14.44 ID:qzPueqo20
兄「(あのときは…ずっと二人の生活が続くって…そう疑わなかったんだよな…きっと)」

妹「お兄ちゃん?」

兄「あ…いや…ごめん…考え事しちゃって…」

妹「んー? お兄ちゃん、何か変わったね」

兄「え…? そうかな…」

妹「雰囲気っていうか…。時間にきっちりしてるところとかはさ、そのままだったけど…。前はもっとしゃきしゃきってしてたよッ」

兄「(そうだっけ?)」

妹「可愛い女の子とのデートなんだから、もっと胸を張りなさい!」


そう言って威張ってみせる妹は、確かに可愛いかった。


26 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/26(水) 01:38:29.20 ID:VscyV47g0
おいおいペースちょっと早いぜ?読み手想いのお前のその態度俺は嫌いじゃないが、もっと自分の身体にも気を使いな!


28 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/26(水) 01:39:43.92 ID:VscyV47g0
っへ!俺の言うことなんて聞きやしねえ!お前はいつだってそうだったよ・・・
いいぜ・・・こうなりゃとことん付き合ってやるよ!


29 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/26(水) 01:41:54.67 ID:qzPueqo20
妹「…本当だったら、二年前に行きたかったんだよね…美術館」

兄「あれ…そうなんだ?」

妹「…覚えて…ないの?」

兄「…わからない」

妹「もしかして…行けなくなっちゃった理由も…?」

兄「…うん」

妹「これ…ちょっと訊くのが怖いんだけど…、私の…手紙…全然覚えてないの?」

兄「そうそう…実は俺…そのこと妹に訊こうと思ってたんだ。電話でもちらっと言ってた…よね? 手紙のこと…」

妹「あ、ああ…その手紙は…その…たいしたことじゃないからッ。うんッ」


妹は満面の笑みで両手を振ってみせた。


30 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/26(水) 01:42:23.59 ID:VscyV47g0
く・・・!やはりこのペース俺にはちときついぜ・・・

ふっ、だな。俺に弱音なんて似合わねえし吐いてる暇もねえよな?
よっしゃどんどん来い!


31 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/26(水) 01:43:05.51 ID:qzPueqo20
兄「(そう…なのか?)」

兄「(確かに…俺も記憶に残ってないくらいだし…)」

兄「(いや…ちょっと待てよ…。何か…何か思い出せそうだ…。妹からの手紙って…)」


ゾクッーー


突然、俺の目前の景色が歪んだ。


兄「(この嫌な感じ…頭の奥が…。この間のと…同じ…)」

妹「お兄ちゃんどうしたの…? なんか…顔色悪いよ…?」

兄「い、いや…大丈夫だから。心配…いらない…」

妹「もしかして今日は調子悪かった…? もしそれなら今日はーー」

兄「…もう大丈夫。たまに…なるときがあるんだよね。貧血か何かかな…」

妹「そういえば…本当に何回かだけだけど、私たちの家でもなったことあったよね…」

兄「(…?)」


32 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/26(水) 01:44:12.52 ID:VscyV47g0
じゃあ俺寝るから。精々がんばれよ


33 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/26(水) 01:45:01.41 ID:qzPueqo20
妹「とにかく…ちょっと休もう? どうせ予定より早いんだから。あそこの新しくできた喫茶店のコーヒーね、とってもおいしいんだよ~」

兄「あ、ああ…そう…しようか。ごめんね」

妹「…」

兄「(あ、あれ…怒ってる?)」

妹「やっぱりな~んか違う。調子狂っちゃうよ~」

兄「って言われてもなぁ…。けど…妹は…全然変わってないね」

妹「そ、そうかな? ってこれ誉められてるのか私…?」

兄「はは…」

妹「ん~…まぁいっか…。…えへへ」


俺の隣で笑っている妹。

少しだけ、あの頃に戻れたような気がした。


34 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/26(水) 01:46:57.79 ID:VscyV47g0
何涙目なってんだよwww
嘘に決まってんだろ。昔の約束今果たさせてもらうぜ!


35 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/26(水) 01:49:58.32 ID:VscyV47g0
どしたい息切れか?
ははは、さすがのお前も人の子か。いいぜちょっと休憩するか


36 のんちゃん ◆nononjiFW2 [sage] 2009/08/26(水) 01:51:12.74 ID:w5p0rKMV0
一人芝居にクソワロタ


37 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/26(水) 01:53:01.74 ID:qzPueqo20
本日ここまでです。

スレが残っていれば、明日も同じ時間に投下します。

落ちてしまった場合、見てくださってる方には申し訳ありませんが、作者逃亡とみなしてください。

>>9
多数のご支援ありがとうございます。
新参のためよくわかってなかったりします。
では明日はageていきます。
また何かアドバイス等々あればよろしくおねがいします。


38 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/26(水) 02:06:03.36 ID:VscyV47g0
スレを活かすのが俺の役目だろ?
いちいち恥ずかしいこと言わせんな。ほら、ここは俺に任せてお前はとっとと休め休め


43 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/26(水) 04:17:21.19 ID:PQBBPA66O
ID:VscyV47g0が働かないから
代わりに保守


45 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/26(水) 07:10:14.61 ID:qzPueqo20
scene06

-夜、帰り道の路地裏-


妹「あ~おいしかったな~」

兄「…あの店…まだ潰れてなかったんだな…」

妹「もうッ、そんなこと言わないのッ!」

兄「あ…ごめん…ッ」

妹「…実は…私も久しぶりなんだ…。あそこのラーメン食べたの…。昔からよく伯父さんに連れて行ってもらってたよね」

兄「うん…」

妹「二人暮らしを始めてからも結構行ってたよね、私たち」

兄「そうだなぁ…店主のおじさん、俺たちのこと覚えててくれたよね」

妹「そうそう! ビックリしたぁ」


48 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/26(水) 07:29:54.24 ID:qzPueqo20
少し間をおいて妹は続けた。


妹「この二年間でさ…色々新しいものとか…できたけど…、でも…変わらないものだってあるんだよね…」

兄「…うん」

妹「私たちの人生も…変わっちゃったのかな…」

兄「…妹?」


ゾクッーー


すると、昼に感じたものと同じ、頭痛とはまた違った症状が再び俺を襲った。


兄「(…う…まただ…あの…感じ…ッ。これは…一体何だって言うんだよ…)」


俺は堪らず立ち止まり、しゃがみ込んだ。


51 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/26(水) 07:45:09.01 ID:qzPueqo20
妹「お兄ちゃんッ…大丈夫!?」

兄「あ、ああ…平気…だよ」

妹「ううん…やっぱり大丈夫じゃないッ」

兄「(今日は…どうしちゃったんだ…俺…?)」

妹「歩ける…? もし辛かったら…救急ーー」

兄「あ…いや…、本当に大丈夫…。ちょっと…立ちくらみしただけだから…うん」

妹「お兄ちゃん…」


妹は心配そうに俺を見つめるが、これ以上迷惑をかけたくはない。


兄「ありがとう…。もうすぐ駅だから…もう、大丈夫」

妹「駄目だよ…何かの病気かもしれないし…。それに…もしお兄ちゃんがお家で一人のときにまた…」

兄「(確かに…これが続くようなら病院行きだな…)」

妹「ね? 今日は泊まっていって?」


52 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/26(水) 07:59:56.08 ID:qzPueqo20
唐突な展開に、俺は一瞬たじろいでしまった。


兄「え…? でも…」

妹「ちょっと前まで一緒に住んでたじゃない。お兄ちゃんの部屋はそのままだよ…? ちょっと埃っぽいかもしれないけど…シーツはちゃんと替えてるし…。もしよかったら私の部屋でもーー」

兄「え…いや…それは…」

妹「とにかく…家まで行こう…?」

兄「…じゃあ…少しだけ…休ませてもらおうかな」

妹「うんッ、家までもうちょっと…歩ける?」

兄「ああ…大分収まってきたから…」

妹「…うん」


こうして俺は、二年振りに我が家の門をくぐることになったのである。


69 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/26(水) 13:16:01.51 ID:qzPueqo20
scene07

-妹宅-


兄「おじゃまします…って言うのも何か変か…」

妹「はは…そうだね」


クスクスと笑いながら妹はキッチンへ向かった。


妹「紅茶で良い~?」

兄「うん…ありがとう」


キッチンからの妹の声に俺は短く応えながら、とりあえずリビングの椅子に腰を下ろし、落ち着くことにした。

この家に男君はいない。

勤務地の関係でやや離れた場所に住んでいるそうだ。

妹は、半々くらいで行き来しているのだという。


兄「(しかし参ったな…。)」

兄「(今までこんなこと…なかったのに…)」


71 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/26(水) 13:47:43.31 ID:qzPueqo20
そこでふと路地裏での妹の言葉を思い出した。


兄「(妹は…過去にも数回あったって言ってたな…)」

兄「(…そんな記憶…俺には無いんだけどな…)」

兄「(…俺…過去…忘れ過ぎてないか…?)」

兄「(なんだか…妹と話が噛み合ないことがあり過ぎて…)」

兄「(いや…完全に忘れているわけじゃない気がする…)」

兄「(手紙のことも…。…何かこう…漠然と…知ってるようで…知らないような…)」


ゾクッーー


と、そのとき、俺は四度目の奇妙な感覚に見舞われたのである。


兄「(また…なんでだ…どうして…)」

兄「(くそッ…負けるもんか! 何か…何か思い出すんだ…ッ)」

兄「(うう…駄目…だ…力が…)」


俺の意識はそこで途切れた。


90 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/26(水) 19:50:59.38 ID:yjJGzhbk0
私には4つ離れた妹がいます。
その妹が今度結婚することになりました。
私たちは両親が共働きをしていたので、幼いときから兄妹二人でいることが多く、いつも二人で遊んでいました。
また、妹はとても甘えん坊で、私がいないと一人では何もできない子で私は随分と手をやかされました。
妹がまだ小さく、幼稚園に通っていくときには、私と離れるのを嫌がり毎日バスに乗り込ませるだけでも時間がかかったものです。
3年間はすぐに過ぎて妹が小学校に入る歳になりました。そのとき妹の喜び様といったらありません。毎日私と登校できるとても喜んでいました。
それからというもの妹は学校にいる間でさえ、事あるごとに私のクラスにやってきて私と一緒がいいと駄々をこねて、私をよく困らせていました。
それからしばらくして私が小学校を卒業をする時がきました。
卒業式が近付くと妹はまた少し泣いていました。しかし、その頃には妹も大きくなり、クラスに友達もでき私のクラスにくる回数は少しずつ減っていて、昔のように騒ぎ立てることもありませんでした。
私が中学に入学し部活をやり始めてからは家に帰るのが遅くなりましたが、妹は妹で、友達と遅くまで遊んでいて楽しそうでした。
そんな妹が日毎に変わっていくのが目に見えてわかったのが私が高校を卒業し大学に入ってからでした。
妹は地元の柄の悪い集団と仲が良くなり始めたようで、昔からの妹の自慢だった黒い髪は茶色に染まり、顔も化粧で雰囲気がすっかり変わって、私との会話もほどん無くなっていきました。
いくら妄想の妹とはいえここまでくると自分で書いてて泣きたくなります。
三次のエロ画像下さい。
お姉さん系がいいです。


91 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/26(水) 20:01:56.36 ID:oehs2kKDO
>>90
おまいは良く頑張ったよ…
(´;ω;`)


93 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/26(水) 20:27:46.48 ID:hXZ7mldF0
>>90をスルーするのは勿体ない


100 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/26(水) 23:00:44.17 ID:KV75cAjhO
誰か>>90に画像をあげてやってくれ


107 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 00:39:48.33 ID:77kOjXmLO
>>90ってコピペだろ


108 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 00:59:45.36 ID:S/jlbTop0
scene08

-???-


Rrrrrr…


兄「(こ…、ここ…は…?)」


気付くとそこは、確かにさっきまで自分が座っていた場所と変わりなかった。

目の前では妹の携帯電話が鳴っていた。


兄「(何だ…俺は寝ちゃったのか…?)」

兄「(まだ夜…か…、でも少しさっきまでとは様子が違うような…)」

兄「(むしろ…懐かしい)」

兄「(そういえば…妹は…?)」

兄「(もう寝たのか…?)」


俺はふらつく足取りで二階への階段を上がり、廊下の突き当たりにある妹の部屋の前まで辿り着いた。


110 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 01:14:37.60 ID:S/jlbTop0
ドアの隙間から零れた明かりは、二本の筋を廊下に洩らしていた。


兄「妹ーー」


俺は何の考えもなしに、妹の名前を呼びながらドアを開けた。


妹「お、お兄ちゃんッ!?」


机に向かい勉強している様子であった妹は、思わぬ俺の登場に大いに慌てて叫んだ。


妹「ちょ、ちょっとッ、入るときはノックくらいしてよッ!?」

兄「あ、ああ…悪い」

妹「いいから早く閉めてッ!」

兄「うん…ごめん…」


妹の怒気に気圧され、俺はすぐに開けたドアを閉める羽目になった。


113 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 01:30:46.89 ID:S/jlbTop0
兄「(あれ…でも…妹…。なんだ…? 何かが…おかしい…)」


そして俺はもう一度妹とコンタクトを取るため、部屋をノックした。


兄「妹ーー」


返事がない。


兄「…?」


再びノックするがやはり返事がない。


様子がおかしい。

そしてもう一度、妹の部屋に入ろうとノブに手をかけたときである。


妹「お兄ちゃん…?」

兄「…ッ!?」


114 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 01:39:30.16 ID:S/jlbTop0
これには流石に仰天した。

自室に籠っているはずの妹が廊下の反対側から現れて近づいてくるのだから。


妹「お兄ちゃん、私に何か用だった?」

兄「え…いやだってお前…今…」

妹「?」

兄「(何が…どうなってんだよッ)」


俺には妹の顔と部屋のドアを交互に見比べるしかできなかった。


117 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 01:49:23.69 ID:S/jlbTop0
妹「そういえば…さっき具合が悪いっていってたけど…もう大丈夫…?」

兄「え…あ…ああ。大丈夫…多分」

妹「ふ~ん…」

兄「本当に…うんッ」

妹「お兄ちゃん」

兄「え…あ…、な、何?」

妹「ちょっと遅れちゃったけど…ハッピーバレンタインッ!」


そう言って妹は、身体の後ろから三十センチ四方ほどの白い箱を勢いよく俺に差し出した。


兄「(え…これは…)」


そこで俺は意識が一気に遠退くのを感じた。

そして真っ暗な闇に落ちていったのである。


120 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 02:01:25.68 ID:S/jlbTop0
scene09

-妹宅、リビング-


兄「…ッ!」


俺は突っ伏していた机から跳ねるように起き上がった。


妹「お兄ちゃん?」


丁度そこへ、紅茶のカップを手に持った妹がやってきた。


兄「…妹」

妹「紅茶…入ったんだけど…。やっぱりまだ具合悪い…?」

兄「え…ああ…ちょっと…居眠りしちゃって…」

妹「そっか…きっと…疲れてるんだよ。今日私が付き合わせちゃったから…」

兄「いや…そんなこと…ない。妹は気にしないで…な?」

妹「…うん」


122 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 02:09:36.90 ID:S/jlbTop0
なんとなく重くなった空気の中、俺は紅茶に口をつけた。

少しほっとした。


兄「…夢を…見たんだ」

妹「夢…?」

兄「うん…昔の…夢…。俺がここで暮らしてたときのこと…」

妹「へぇ~そうなんだぁ。ねぇ、いつくらいの夢だった?」

兄「ええと…あれは確か…二年前の…」

妹「二年…前…」

兄「ああ…多分あの日は…」


ゾクッーー


思い出そうとしたとき、また頭の奥が僅かに疼いた。


125 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 02:19:49.82 ID:S/jlbTop0
兄「う…ッ」

妹「お兄ちゃん…?」

兄「あ…ごめん…またちょっと…」

妹「ううんッ、今日はもう休んだ方が良いよ…? 明日も私ずっと家にいるから…もし明日も具合が悪かったら…病院行こう…。…ね?」

兄「うん…ごめんな…迷惑かけちゃって…」

妹「迷惑とか…私たち兄妹だよ? ずっと一緒だったんだから…」

兄「そうだな…じゃあ今日は妹に甘えさせてもらおうかな…」

妹「うんッ、着替えとかはお兄ちゃんの部屋にそのままだと思うから…」

兄「わかった…適当に着替えるよ」


127 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 02:30:07.35 ID:S/jlbTop0
妹は、二階の元の俺の部屋まで付き添ってくれた後、調子が悪いようだったらすぐに呼ぶよう俺に何度も言いつけた。


妹「じゃあ…電気消しとくね。おやすみ、お兄ちゃん…」


妹が出て行った部屋、当然のようにしんと静まり返った。


兄「(俺…着替えまで手伝ってもらって…)」

兄「(母親って…きっとこんな感じなんだろうな…)」


なんとなくそう思った。


129 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 02:39:50.45 ID:S/jlbTop0
scene10

-妹宅、旧兄部屋-


兄「(ふぅ…)」


俺はベッドに全身を投げ出すと、大きく一つ息を吐いた。


兄「(今日は…色々あったけど…、久しぶりに妹と同じ時間を過ごせて…楽しかったな)」

兄「(でも本当に妹…急だな…)」

兄「(変わってないと思ったけど…なんか様子がおかしいときもあったし…)」

兄「(…そう…手紙…。手紙ってなんだったんだ…?)」

兄「(俺も覚えてないけど…あのときの妹の様子…やっぱり変だった…)」

兄「(手紙…手紙…)」


ゾクッーー


兄「(…ッ! この…嫌な感じ…ッ)」


131 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 02:49:24.18 ID:S/jlbTop0
兄「(何なんだ…これは…)」

兄「(俺が少し考え込むと…頭の奥で…何かが疼く…)」

兄「(考える…一体何を考えたときなんだ…?)」

兄「(初めてこの感覚に襲われたときは…俺のアパートで…手紙のことを考えていたとき…)」

兄「(二回目もッ! 今日の昼…路地裏ッ)」

兄「(三回目…も手紙)」

兄「(そして変な夢を見た…昔の夢…。でも…そんなに古いわけでもない…。多分…俺が家を出る少し前くらいの…)」

ゾクッーー

兄「(来たッ…これは…)」


134 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 03:00:04.91 ID:S/jlbTop0
兄「(四回目は二年前、五回目は手紙、六回目はたった今…)」

兄「(過去の記憶を遡ろうとすると…あいつがやってくる…のか?)」

兄「(どうしてだ…? しかも大昔の話じゃない…ほんの数年前のことが中心…。もっと言えば二年前…)」

兄「(二年前…何かあったのか…?)」

兄「(…何言ってんだ俺は…。俺がこの家から引っ越したのが二年前じゃないか…)」

兄「(…)」

兄「(人生が変わった瞬間…か)」

兄「(…どうして引っ越しちゃったんだろうな)」

兄「(…本当に…どうしてだ?)」

兄「(おかしい…何故思い出せない…。絶対に…絶対に重要なことだったはずだッ)」


ゾクッーー


138 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 03:10:01.80 ID:S/jlbTop0
兄「(そんな馬鹿なことがあってたまるかッ。思い出せ…思い出せ…ッ!)」

頭の奥で何かが唸り続ける。

兄「(手紙のことを思い出そうとするとあいつが来た…。ということは、俺の記憶に無くとも確実に手紙は俺の過去の一部に存在していたんだッ。一体何の手紙だったんだ? …もう少し…もう少しで何か思い出せ…そう…なのに…)」

しかし、あいつの前に俺は無力だった。

兄「(くそ…やっぱり…駄目…なのか…)」

俺は再び力尽きた。


139 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 03:12:04.38 ID:S/jlbTop0
本日はここまでです。
深夜にも関わらずご支援ありがとうございます。

日中でも時間があれば投下したいと考えていますが、基本的にはまた明日の夜に戻ってきます。

ではでは。


141 cbmscp ◆cbmscpzCyg  2009/08/27(木) 03:15:03.73 ID:aKzwP6txP
まっ、待ってるんだから ///


149 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 07:11:37.42 ID:S/jlbTop0
scene11

-???-


兄「(…)」

兄「(ここ…は…)」


目が覚めるとそこは相変わらず自室であった。

俺は上半身を起こした。

そのとき初めて、白い三十センチ程度の四角い箱が自分の身体の上に乗っていることに気づいたのである。


兄「(あれ…なんでこんなものが…。しかも…この箱は…)」


白い箱を開けてみるとそこには赤い毛糸の編み物が詰められ、その上に小さな可愛らしい封筒が置かれていた。


兄「(俺は…これを知っている…。これも過去の夢なのか…?)」

兄「(…そうだ…これは妹からのプレゼント…。そしてこの封筒の中には…)」


151 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 07:22:59.24 ID:S/jlbTop0
Rrrrrr…


俺の思考を中断させたのは、鳴り響く携帯電話だった。


『着信:友』


兄「(この電話…。…そうだ…これは間違いなく俺の過去…。過去の夢を見てるんだ…。そして俺は…この電話に出て…)」

兄「もしもしーー」

兄「(…夢でも忠実に過去を再現する必要なんてあるのか…?)」

兄「…。……」

兄「(目の前に…手紙があるのに…)」

兄「…ッ。……!」

兄「(いつまで電話してんだよ。俺は封筒の…手紙を読みたいんだッ。早く切れよ…。…あれ…俺…どうしてこんなに…イライラしてるんだ…?)」

兄「…」

兄「(落ち着いた…のか?)」


154 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 07:30:29.22 ID:S/jlbTop0
Pi!


電話を切った俺は、何故か怒りに似た感情が込み上げてくるのを感じた。

そして手に持っていた携帯電話をベッドに叩き付けると、次に俺の心を支配したのは虚しさだった。


兄「(何やってんだよ…俺…。それに…この…胸の苦しさは…)」

兄「(…いや、そんなことよりも…今は手紙…)」

兄「(…なんか…読みたくないな…)」

兄「(どうしてだ…? あんなに気になってたのに…今は全然…読みたく…)」

兄「(…意識が…)」


俺はそのままベッドに倒れ込んでしまった。


174 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 13:08:43.69 ID:S/jlbTop0
scene12

-妹宅、旧兄部屋-


兄「ん…」


暗闇の中、俺は目が覚めた。


兄「(やっぱり…夢…か)」

兄「(手紙…読めなかったな…)」

兄「(夢の中で俺は…どうして読みたくなくなったんだ…?)」

兄「(電話の内容と何か関係があるのか…?)」

兄「(会話の内容…ちゃんと聞いとけばよかった…)」

兄「(それよりも…手紙は…結局あの後…やっぱり読まなかったのか俺は…?)」

兄「(電話を切って…俺は…手紙を…)」


ゾクッーー


兄「(また来たッ!?)」


176 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 13:10:38.74 ID:S/jlbTop0
兄「(また来たッ!?)」

兄「(…もしかして…もう一度戻れる…のか…?)」

兄「(…試してみるしかない)」


俺は瞼を閉じ、意識を集中した。


兄「(手紙…)」


ゾクッーー


兄「(手紙…手紙…手…紙…)」


俺はゆっくりと、深く、深く落ちていった。


228 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/28(金) 01:06:24.90 ID:t2TaC99Z0
scene13

-???-


兄「(…)」

兄「(…来た)」

兄「(そして…)」


腹部には白い箱が乗っている。


兄「(これだ…この中に…)」


俺はベッドから起き上がり、中身を確認した。


兄「(あった…手紙…)」


229 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/28(金) 01:07:57.71 ID:t2TaC99Z0
Rrrrrr…


携帯電話が以前と同じタイミングで鳴り出した。


兄「(…手紙が先だ)」


今回は友からの電話を無視し、封を開け、中から二つ折りにされた手紙を取り出して開いた。


232 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/28(金) 01:15:05.43 ID:t2TaC99Z0
『お兄ちゃんへ

 お元気ですか?

 バレンタインデーがやってきました。

 今年は…ちょっと頑張って、お兄ちゃんのためにマフラーを編みました。

 編んでる途中で、ちょっといいこと思いついちゃって…

 だから2日も遅れちゃいました! ごめんなさい!

 でもお兄ちゃんなら許してくれるよね…?

 それから、この前オープンした美術館に、

 来月、私の大好きなエッセイストの人が来ます(絵も書いてるんだよ)

 14日から16日までみたいなんだけど…一緒に行きませんか?

 近くにありすぎると、逆になかなか行けないよね。

 だからもしよかったら、デートしてください!』


233 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/28(金) 01:19:28.22 ID:t2TaC99Z0
兄「(…あれ…これだけ?)」

兄「(なんだ…別に隠すほどのことじゃ…)」

兄「(二人で出かけるなんて珍しくもなんともない…)」

兄「(いやでも…昔の日記とかって読み返すと恥ずかしいし…)」

兄「(そんなもんか…)」

兄「(…)」

兄「(…そろそろだな)」


そして俺は、静かに目を閉じた。


235 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/28(金) 01:29:09.55 ID:t2TaC99Z0
scene14

-自宅、兄部屋-


カーテンの隙間から差し込む朝日で、俺は目を覚ました。


兄「(ん…朝…か…)」

兄「(そうか…俺…妹の家に泊まったんだっけ…)」


携帯電話を取り出して時刻を確認する。


兄「(九時半…)」

兄「(妹…もう起きてるかな…)」


部屋を出て階段を降り、キッチンを覗くとそこには朝食を作る妹の姿があった。


妹「おはよう、お兄ちゃん」


朝日を浴びた妹の笑顔はキラキラと輝いていた。


236 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/28(金) 01:39:37.77 ID:t2TaC99Z0
兄「(…なんだろう…妹の雰囲気がちょっと違うような…)」

妹「お兄ちゃん?」

兄「あ…いや…おはよう」

妹「うんッ。朝ご飯、トーストで良い?」

兄「ありがとう、妹。なんかごめんね…昨日は急に泊めてもらっちゃって…」

妹「…?」

兄「それに、朝ご飯まで…」

妹「お兄ちゃん、何の話?」

兄「え…何ってーー」

妹「もう、どうせ変な夢でも見て寝ぼけてるんじゃない? 早く顔を洗ってきたら」


妹が呆れたように言い放った。


239 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/28(金) 01:50:35.80 ID:t2TaC99Z0
兄「(確かに…変な夢は見たけど…)」

妹「早くいってらっしゃい!」

兄「は、はいッ」


俺は洗面所で顔を洗いながらも、何か違和感を抱かずにいられないでいた。


兄「(なんだろう…妹の態度…まるで俺たちが一緒に暮らしてるような…)」

兄「(そうだ…昔一緒に暮らしていたころの態度とそっくりなんだ…)」

兄「(…まさか…これも過去の夢ッ?)」


走ってキッチンへ向かう。


妹「あ、お兄ちゃん、トースト焼けたよ~…ってそんなに慌ててどうしたの?」

兄「妹ッ、今日は何年の何月何日だッ!?」

妹「ど、どうしたの? 今日は15日だけど…」

兄「何年何月のッ?」

妹「…ちょっと落ち着いてよ~。そんなことも忘れちゃったの?」


240 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/28(金) 02:00:43.61 ID:t2TaC99Z0
俺は何も言わなかった。

が、その真剣な表情にただならぬ気配を感じたのか、妹は態度を改めて答えた。


妹「2010年の…3月…だけど…」


それを聞いて、俺の強ばっていた筋肉が、一気に力を失った。


兄「(…普通…だ)」


いくら俺でも西暦やその月を忘れるほど馬鹿じゃない。


俺「(昨日は14日だった。一晩明けて15日…。どこも…おかしくはない)」


241 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/28(金) 02:10:01.83 ID:t2TaC99Z0
妹「お・に・い・ちゃんッ」


妹の苛立たしい声がキッチンに響いた。


俺「あ…。ちょ、ちょっと考え事があって…」

妹「ふ~ん…。とりあえず、歯ブラシ置いて口濯いできたら」


妹に言われて自分が歯磨きの途中だったことを思い出した。


俺「え…あ、ああ。そう…だね」


昨日は少しおかしな夢を見ただけ。

自分にそう言い聞かせて、もう一度洗面所へ向かった。


244 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/28(金) 02:20:16.01 ID:t2TaC99Z0
scene15

-自宅、リビング-


朝食を済ませた後、俺はリビングで何となくテレビを見ていた。

先週続くから芸能人の大麻所持疑惑やら選挙特番やらで賑わっている。


兄「(あんまり迷惑かけたくないし…早く帰るべきなんだろうけど…)」


ちらと横目で妹の様子を伺うと、妹は古ぼけた赤い表紙の本に夢中のようだった。


兄「(なんでだろう…。言い辛いっていうか…このままずっとここにいられるような…)」

兄「(…いや、何を考えてるんだ俺は。でも…何かがおかしい…)」

兄「(…とにかく切り出さなきゃ)」


246 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/28(金) 02:29:46.33 ID:t2TaC99Z0
兄「なぁ…妹」

妹「ん? どうしたの、お兄ちゃん?」

兄「俺、そろそろ帰んなきゃいけないから…。昨日はありがとう。久しぶりにーー」

妹「もう、お兄ちゃんまだそんなこと言ってるの~? 全然面白くないよ~」

兄「(…この反応)」

妹「大体、帰るってどこに帰るのよ~。お兄ちゃんの居場所は、こ・こッ」

兄「(カマをかけてみるか…)」

妹「ねぇ、聞いてる?」

兄「ああ…そうだよね。親父が死んでから七年間、ずっと一緒だったもんな」

妹「そ~そ~。今更離れられないのよ~」


そう言って寄ってくる妹の笑顔に、鼓動が早まるのを感じた。

そして俺の隣で妹はまた本を読み始めた。


250 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/28(金) 02:40:14.86 ID:t2TaC99Z0
兄「(妹が冗談を言っているようには到底思えない…)」

兄「(だとしたらこの世界は…俺の知ってる現実とは違う)」

兄「(やっぱり…これも夢?)」

兄「(…やけにリアルな夢だな。それに、昨日の夢見たいな独特の感じ…自分だけど自分じゃない感じ。そんなのが全くしない…)」

兄「(むしろ…これが現実で…、あの別居してた二年間こそ…夢だったんじゃないのか…?)」

兄「(…埒…あかないな…)」


そうして三十分程過ぎた頃、妹はパタンと本を閉じた。


妹「さて…と。ちょっと買い物に行ってくるね。駅前の画材屋さんに行くだけだから…。お兄ちゃんも行く?」

兄「あ…俺は…まだ着替えてないし…。すぐに戻ってくるの?」

妹「ん~、一時間くらい。お昼には帰るよ」

兄「そっか、じゃあ…俺はいいや」

妹「は~い。私が帰ってくるまでにちゃんと着替えとくんだぞ~」


それだけ言い残すと、妹は出て行った。

途端に寂しさが部屋を覆う。


251 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/28(金) 02:49:19.84 ID:t2TaC99Z0
兄「(…)」

兄「(一人にはもう慣れたと思ってたのにな…)」

兄「(それより…俺は…どうすれば良いんだ…)」

兄「(…いや、これが現実。悩む必要なんてないじゃないか…)」

兄「(このまま妹と暮らしていくんだ。そう…それは俺が望んでいたことじゃないか…。心の底で…ずっと…)」

兄「(妹…)」

兄「(…)」


静かな時間が過ぎていった。


252 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/28(金) 03:01:26.43 ID:t2TaC99Z0
scene16

-自宅、リビング-


Rrrrrr…


兄「(…ん…居眠り…してたのか)」

兄「(妹はまだ帰ってきてない…のかな)」

兄「(…って携帯が鳴ってるじゃないか)」


『着信:妹』


兄「(妹から…)」


253 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/28(金) 03:04:13.86 ID:t2TaC99Z0
兄「もしもしーー」

兄「…あ、はい…そうです…けど…」

兄「えッ…い、妹が…」

兄「それでッ…どうなんですか!?」

兄「どこの…ッ」

兄「はいッ、すぐに向かいますッ!」


俺は飛び起きると、スニーカーに足を突っ込み、パジャマ姿のまま家を飛び出した。


256 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/28(金) 03:09:56.61 ID:t2TaC99Z0
時は刻々と流れ続ける。

住人がいなくなったこの家では、部屋に差し込む赤い夕日と時計の秒針が刻むリズムとが織りなす情緒に、淡々と孤独に情報を流し続ける液晶テレビが抗っていた。


『ーーそれでは次のニュースです。本日正午過ぎ、都内の道路にて女性がひき逃げされる事件がありました。女性は通報を受けた救急隊員によって病院に搬送されましたが、間もなく死亡が確認ーー』


強く吹いた一陣の風が、開け放たれたままの扉を閉ざした。


258 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/28(金) 03:14:43.23 ID:t2TaC99Z0
みなさん、こんばんは。
夜遅くまでお付き合いいただいてありがとうございます。
本日はここまでです。

昼に一話程度投下できればと考えていますが、やはり基本的には夜に現れます。

冗長な文で申し訳ありませんが、土曜日の夜にクライマックスを迎える予定ですので、それまでお付き合いいただけたら幸いです。

ではでは。


288 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/28(金) 13:23:06.14 ID:t2TaC99Z0
こんにちは。
大変ご迷惑をおかけしております。
ほんの少しだけ投下します。
現在はストーリー全体の半分を過ぎた辺りです。
やはり今日中に完結させるのは難しいようです。
申し訳ありません。

明日は仕事を早めに切り上げ、一気に完結させるつもりですのでどうかご容赦ください。


289 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/28(金) 13:24:21.72 ID:t2TaC99Z0
scene17

-自宅-


翌日、俺は若い警官に連れられて自宅に戻ってきた。


男「ここで…大丈夫ですか…?」

兄「はい…ありがとう…ございます」

男「私はここで待たせてもらいますので…、準備ができたら声をかけてください。あッ、ゆっくりで…結構です。気にしないでください」

兄「はい…じゃあ…お願いします」


静かだった。

リビングに入るとテレビが点きっぱなしだった。

しかし、最早ノイズさえも俺の耳には届いていなかった。

ふらふらとキッチンに立つ。

昨日の朝まで、妹がここで笑っていた。


290 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/28(金) 13:29:54.54 ID:t2TaC99Z0
兄「(妹…)」

兄「(これが…現実…)」

兄「(これが…俺の望んでいたもの…)」

兄「(違うッ! 俺はこんなもの…全然望んじゃいない…ッ」

兄「(だけど…夢でもない…)」

兄「(どうして…どうしてこうなったんだ…)」

兄「(…冷静になって考えるんだ)」

兄「(この世界は俺の知っている現実じゃない。それは昨日も確認した)」

兄「(じゃあ何故この世界が出来上がってしまったのか)」

兄「(この世界は今朝完成ものじゃない。妹は俺たちが二人で暮らし始めて七年経ったと言っていた。本当なら二年前に俺が家を出ている。つまりこの世界は二年前に始まったことになる)」

兄「(二年前の何らかの出来事が作用してその未来ーー現在が変わってしまったんだ)」


292 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/28(金) 13:35:57.28 ID:t2TaC99Z0
兄「(二つの世界の一番の違いは…俺が妹と暮らしているという点。だから、おそらく、この世界の俺は二年前に別居を提案しなかったんだ)」

兄「(…俺が提案した理由は何なんだ?)」

兄「(確かあの晩も思い出そうとして…夢の中へ…)」

兄「(夢…?)」

兄「(そうだ…夢。夢の中での友からの電話ッ。詳しい内容は覚えていない…が、あの電話が引き金だった。そこには確信が持てる。あの後俺は眠らずに一人考えてたんだ。妹のこと…。そして…)」

兄「(二人の生活を終わらせる決意をしたんだ)」

兄「(…)」

兄「(現在が変わってしまった理由…それは俺が電話に出なかったから…)」

兄「(つまり…もう一度過去に戻って電話に出れば妹は…)」


俺は二階への階段を上がった。


293 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/28(金) 13:38:32.02 ID:t2TaC99Z0
ここまでです。
それではまた今夜…。


314 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/28(金) 18:27:28.51 ID:EJHp9reAO
どうしてこうなった…
`___
/∥ ̄∥ ∧∧
L∥_∥(  )
| ̄\三⊂/ ̄ ̄/
|  |( /  /
どうしてこうなった!?
`___
/∥ ̄∥ ∧∧
L∥_∥(^ω^)
| ̄\三⊂/ ̄ ̄/
|  |( /  /
どうしてこうなった
 どうしてこうなった
`___ ♪ ∧∧ ∩
/∥ ̄∥ ((^ω^)ノ
L∥_∥ \  レへ
| ̄\三/ ̄7、 /⌒
|  |/  / ((  ♪
どうしてこうなった
 どうしてこうなった
`___ ♪ ∩ ∧∧
/∥ ̄∥  丶(^ω^))
L∥_∥  へノ  /
| ̄\三/ ̄7\ ノ
|  |/  /  )) ♪


344 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 00:31:36.19 ID:8OQbJP710
scene18

-自宅、兄部屋-


兄「(ここで…過去に意識を集中させれば…)」


ゾクッーー


兄「(妹…)」


ゾクッーー


もう何度目だろうか。

最後にふとそんなことを思った。


348 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 00:38:48.14 ID:8OQbJP710
-???-


兄「(ここだ…)」

兄「(そして…)」


Rrrrrr…


『着信:友』


兄「(妹…待ってろよ…)」

兄「もしもしーー」

兄「(話した内容は…)」

兄「ああ、もらったけどーー」

兄「(そうだ俺はバレンタインデーに友から呼び出しがあって…駅前につくと知らない女の子からチョコレートを受け取ったんだ。でもその子はすぐに走って行っちゃって…)」

兄「だから返事っていうかーー」

兄「(そして俺は友がセッティングしてくれたデートの誘いを蹴った…。すると急に友が怒り出して…)」


349 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 00:44:41.54 ID:8OQbJP710
『本当に妹さんのこと考えてるのか』

『いつまで依存してるつもりなんだ』

『お前は自分のことばっかしか考えてなかっただろうけどな』


兄「(…ずばり…言われた。いつまでも一緒に居られるわけじゃない…そのことを…俺は…気付かない振り…してた。俺が…ずっと妹の側にいたかったから…。だけど友に…言われた。友の言う通りだった…。隠してた自分の汚い部分を…突きつけられたような気がした)」


兄「…明日の夜…掛け直しても大丈夫か?」

兄「(俺はこの後…一晩中悩んで…。そして…)」

兄「じゃ…サンキュ」

兄「(次の日の朝…)」


350 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 00:46:18.00 ID:8OQbJP710
Pi!


兄「(俺は…本当に自分勝手だな…)」

兄「(でもこれで全部…元通り…)」

兄「(…)」




352 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 00:53:45.78 ID:8OQbJP710
scene19

-自宅、兄部屋-


男「…ッ! …さんッ!!」

兄「(…?)」

男「大丈夫ですかッ!」

兄「あ…あれ…ここは…」

男「目を覚まされましたか…。よかった…」

兄「どう…して…?」

男「あ…その…いくら待っても出て来られなかったので、私が様子を見に…」

兄「なんで…どうして…」

男「…どう…なさいましたか…?」

兄「(…変わって…ない)」


357 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 01:00:08.38 ID:8OQbJP710
男「すいま…せん?」

兄「い…いえ、少し…疲れていたみたいで…」

男「あ、ああ、そうですよねッ。私はまたてっきり…」

兄「てっきり?」

男「あッ! いえ別に深い意味はなくてッ。あの…ですね…」

兄「俺は大丈夫です…。ご心配かけてすいません。すぐに支度をしますので…もう少し…待っていてもらえませんか?」

男「は、はいッ」


男は慌てて部屋から出て行った。


359 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 01:02:10.72 ID:8OQbJP710
兄「(…)」


夕暮れの部屋に、一人。


兄「(…どうして)」

兄「(どうして何も変わってないッ! 俺は…正しい選択をしたはずなのに…ッ)」

兄「(俺には妹を救えないのかッ。…そもそも…俺のせいで妹は…)」

兄「(ちくちょう…ッ)」


目から涙が溢れる。


360 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 01:07:41.31 ID:8OQbJP710
兄「(駄目だ…冷静になれ…)」

兄「(諦めちゃ駄目なんだ…。俺は諦めないッ)」

兄「(何がおかしかったかを考えるんだ)」

兄「(俺は二年前…確かに友からの電話に出たはずだ。そしてその通りの過去を再現した…。これで…全部元通りになる…はずだった)」

兄「(全部…元通りに…)」

兄「(…ッ!?)」

兄「(…そうだ…全部…元通りになっちまったんだ…)」

兄「(俺は…元通りに別居して…、二年後に再会して…、この家に泊まって過去を変えた…)」

兄「(そうだよ…全部元通りじゃないか…)」

兄「(…)」

兄「(…俺は…まだ諦めない…)」


361 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 01:16:05.83 ID:8OQbJP710
scene20

-自宅、リビング-


兄「(ここから戻れる過去は…プレゼントを貰う直前から貰うまで…)」

兄「(前回は…部屋にいたはずの妹が急に廊下から現れた。おそらく、本来はそうしていないにもかかわらず、俺が妹を探して部屋まで行ったからだ…。だから妹の存在に矛盾が生じた。救いは…それで現在が変わらなかったこと…か)」

兄「(何か手がかりがあることを祈る…ッ)」

兄「(…)」


ゾクッーー


364 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 01:23:59.08 ID:8OQbJP710
-???-


Rrrrrr…


俺は目の前の携帯電話を開いて日付を確認した。


『2008年2月16日』


兄「(二日遅れのバレンタイン…)」

兄「(下手な挙動をしてしまえば、また未来を歪める可能性がある…。これ以上は収拾がつかない…。確実に…前と同じ手順を踏むべきだ)」


そして妹の部屋の前に辿り着く。

俺はドアを開けた。


兄「妹ーー」

妹「お、お兄ちゃんッ!?」

兄「(何でも良い…何か…)」


366 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 01:33:21.29 ID:8OQbJP710
妹「お兄ちゃん…?」


前回と同じように妹が廊下の反対側から現れた。


兄「ああ、妹…」

妹「お兄ちゃん、私に何か用だった?」

兄「いや、そういうわけじゃないんだけどね」

妹「そういえば…さっき具合が悪いっていってたけど…もう大丈夫…?」

兄「ああ、もう問題ない」

妹「ふーん…」

兄「妹こそ何か用か?」

妹「えへへ…。ちょっと遅れちゃったけど…ハッピーバレンタインッ!」




368 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 01:42:11.09 ID:8OQbJP710
scene21


-自宅、リビング-

男「…ッ!!」

兄「(ん…またか…)」

男「しっかりしてくださいッ!」

兄「あ…何度もすいません…」

男「かなりお疲れ…なんじゃないですか…? やはり病院にーー」

兄「いえッ…大丈夫…です。本当に…」

男「は、はぁ…」

兄「少しまた二階に忘れ物してきちゃったみたいで…ここで待っていてもらえますか?」

男「あ…はい、わかり…ました…」


俺はリビングを出て、静かに階段を上がる。


370 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 01:47:16.32 ID:8OQbJP710
兄「(例の黒い本…何も特別な物じゃない…。あれは…辞書ッ)」

兄「(あの日…妹を辞書を引いていた)」

兄「(…俺への手紙を書くために)」


妹の部屋のドアを開け、ざっと部屋を見回した。


兄「(見当たらない…。押し入れ…か…?)」


部屋の押し入れからダンボール箱を引きずり出して目的の物を探す。


兄「(あのとき…過去に戻った俺は、妹が箱に入れ終わる前にドアを開けてしまった。だから咄嗟に妹は隠したんだ。辞書の間に挟んで…)」

兄「(もしそれが正しい過去なら、俺が出て行った後、入れてしまえばよいだけだったんだ。でも…夢の中での妹は出来なかった)」

兄「(なぜなら…その後すぐに、俺にプレゼントを渡す、というイベントが予約されていたから。俺がドアを開けてしまったせいで、箱に入れるタイミングがだけがなくなってしまったんだ…)」


379 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 02:19:48.56 ID:8OQbJP710
申し訳ありません。

生まれて初めて


   さる


をくらっていました。

本日はここまでです。
もう少しいけると思ったのですが…お詫びいたします。

再開は土曜日の夜9時か10時ごろになりそうです。
物語もいよいよ佳境に入ってまいりました。
日付が変わるに前には確実に終了させます。

ご迷惑をおかけしますが、もう少しだけご支援いただければ幸いです。

ではでは。


446 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 21:03:13.62 ID:8OQbJP710
こんばんわ。

大変長らくお待たせ致しました。

保守していてくださった方、本当にありがとうございます。

では、エンディングへ向けて始めさせていただきます。


447 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 21:04:23.87 ID:8OQbJP710
scene22

-自宅、妹部屋-


兄「(内容は…)」


俺はそっと手紙を開いた。


448 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 21:06:36.56 ID:8OQbJP710
『それからお兄ちゃんに伝えたいことがあります。

 二人きりの生活が始まって五年が経ちましたね。

 中学校を卒業したばかりだった私はもうすぐ二十歳です。

 いつまでも子供じゃないんだよ?

 だけど…本当は直接お兄ちゃんに伝えたいけど、

 私にはその勇気がありません。

 やっぱりまだまだ子供なのかなぁ…。

 だからこの手紙に乗せて、お兄ちゃんに私の気持ちを伝えます。


 お兄ちゃん、大好き。


 あ兄ちゃんのこと…兄として、そして一人の男性として、愛しています。

 ずっとずっと私のそばにいてください。

 私だけの…大切な人でいてください。

 妹より』


449 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 21:08:09.34 ID:8OQbJP710
兄「(妹…お前は…これを俺に伝えたかったんだな…)」

兄「(俺なんかに…こんなどうしようもない兄に…)」

兄「(それなのに俺は…)」

兄「(ごめんな…ごめん…ッ)」


453 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 21:18:00.07 ID:8OQbJP710
scene23

-自宅、リビング-


兄「(すいません…色々ありがとうございました。それからーー)」

兄「(…妹を…よろしくお願いします)」


俺は心の中で男に頭を下げると、彼に気付かれないようこっそりと家を出た。


兄「(妹…おかげで…色々思い出すことが出来たよ…)」

兄「(マフラーのこと、美術館のこと、手紙のことも…)」

兄「(そして…妹が言っていた…過去にもあった俺の原因不明の体調不良)」

兄「(重要なのはその前後における記憶の欠落)」

兄「(そこが過去に戻れるポイント…。俺の行動によっては曖昧な部分が修正されて、確定する)」

兄「(ポイントを見つけるためには…逆を辿ればいいんだ)」

兄「(不自然に俺が記憶を失うこと、それは最近もあった…)」

兄「(その場所は…)」


457 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 21:27:07.98 ID:8OQbJP710
scene24

-???-


妹「お兄ちゃんッ…大丈夫!?」

兄「ああ…平気だよ」

妹「歩ける…? もし辛かったら…救急ーー」

兄「本当に大丈夫だよ」


俺はそう妹に笑顔で返した。


458 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 21:28:26.03 ID:8OQbJP710
妹「お兄ちゃん…」

兄「ありがとう。もうすぐ駅だからさ」

妹「駄目だよ…何かの病気かもしれないし…。それに…もしお兄ちゃんがお家で一人のときにまた…。ね? 今日は泊まっていって?」

兄「心配性だな妹は」


妹の頭を撫でてやる。


妹「でも…」

兄「本人が大丈夫だって言ってるんだから。それとも、俺が嘘ついたことあるか?」

妹「…ううん」

兄「だから、俺を信じろ。な?」

妹「…うん」


459 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 21:34:46.51 ID:8OQbJP710
そうして俺たちはまた駅へと歩き始める。


妹「…ねぇ…お兄ちゃん…」

兄「うん?」

妹「手…繋ごう…?」

兄「おい妹それはーー」

妹「今日だけ…。これで…最後だから…」

兄「…わかった」


俺は妹の右手を取った。

左手からは妹の体温が伝わってくる。

そこから駅まで、ほんの二十メートルくらいだろうか。

俺たちは繋がったまま二人きりの夜道を歩いた。


460 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 21:38:38.20 ID:JpSD7kXv0
繋がったままw


461 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 21:40:28.87 ID:8OQbJP710
兄「今日は楽しかったよ。ありがとうな」

妹「…うん」

兄「(…そろそろかな)」

妹「お兄ちゃん…、私…絶対幸せになるね」

兄「…ああ」

妹「だからお兄ちゃんも…好きな人を見つけて、幸せになって…?」

兄「努力はするよ」

妹「もう、約束ッ」


妹は小指を上げて俺の前に突きつけた。


妹「ゆびきり」

兄「そうだな…約束するよ」

妹「えへへッ」


二本の小指が硬く結ばれた。


462 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 21:42:26.97 ID:IUGPzDfz0
沸騰しそうだよ…!


463 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 21:49:45.06 ID:8OQbJP710
兄「ここまでだな」

妹「うん…」

兄「また連絡くれよ?」

妹「うんッ」


ほんの少し、お互いを見つめ合う二人。

そして意を決したように、妹が口を開いた。


妹「あ…お兄ちゃん…」

兄「…」


俺はただ、妹に微笑みを返した。


妹「あの…私ーー」


464 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 22:00:43.41 ID:8OQbJP710
しかし妹の次の言葉は、俺が聞くべきでないものであることは承知していた。


兄「じゃあな、妹」


俺は妹の言葉を遮って背中を向け、改札を足早に通り抜けた。


465 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 22:06:22.35 ID:8OQbJP710
兄「(初めから…こうすれば良かったんだな…)」


誰もいないホームで一人、ベンチに腰を掛ける。


兄「(でも過去で色々体験して…大切なこと思い出せて…。だからこそ今はこの選択ができたわけで…)」

兄「…」

兄「未来って…よくわかんねーな」


左手を大きく開いて閉じて、と、二、三度繰り返してみる。


兄「(でも…これで俺のタイムトラベルも…ようやく…終わ…る…)」


そのまま俺はゆっくりと眠りについた。


466 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 22:11:45.08 ID:8OQbJP710
scene25

-アパート-


兄「(ん…)」

兄「(朝…か…)」

兄「(ここは…いつもの俺の部屋…)」

兄「(うまくいった…のか?)」

兄「(…いや…まだわからない)」


Rrrrrr…


兄「(電話…)」


『着信:妹』


467 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 22:17:01.52 ID:8OQbJP710
兄「…はい、もしもし」

妹「あ、お兄ちゃん? …もしかしてまた寝てた?」

兄「あー…うん」

妹「かけ直そうか~?」

兄「あ…ごめん。大丈夫だよ。何か…用事?」

妹「この間のデートのこと、男さんには内緒にしてようかなって思ってたんだけどさ、ラーメン屋さんのことポロっと言っちゃったんだぁ。そしたら、『ズルい、俺も連れてけ』って。だからさ、三人で行こう~? 次の日曜とかどう?」

兄「ああ、わかった。また何か決まったら連絡してくれ」

妹「おっけ~。じゃね~」


Pi!


兄「(…)」


俺は脱力してベッドに倒れ込んだ。


470 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 22:27:53.34 ID:8OQbJP710
兄「(本当に…良かった…)」

兄「(これで妹は…幸せになれる)」

兄「(…)」

兄「(俺は…どうなるんだろうな…)」


寝返りを打って埃の被ったギタースタンドに目をやる。

そこにギターは立てられておらず、代わりに紅いマフラーが掛けられていた。


兄「(結局…持っていってやるの忘れちゃったのか…)」


472 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 22:31:58.69 ID:fGKWDY8c0
妹とラブラブちゅっちゅを望んでた俺涙目


474 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 22:32:47.97 ID:8OQbJP710
起き上がった俺はマフラーを取り上げ、またベッドに横たわりながらマフラーに顔を埋めてた。


兄「(妹…)」

兄「(…また…何をやってるんだ俺は…)」

兄「(…)」

兄「(でも…今だけ…)」

兄「(左手に…妹の温もりが残ってる…今だけ…)」


懐かしくて優しい空気が俺を包み込む。


477 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 22:39:46.06 ID:8OQbJP710
なぁ妹、俺の幸せは…お前が幸せになることなんだ。

お前さえ幸せでいてくれたら…俺は…何もいらない。

だからずっと笑っていてくれよ。

幸せに…なってくれよ。

だって俺は…世界中の誰よりもお前のことをーー


俺はそっと瞼を閉じた。


それはもう、桜が舞う頃の、不思議な出来事でした。


479 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 22:43:10.94 ID:8OQbJP710
さて、これでこのお話は一旦おしまいです。

愚鈍な作者で大変ご迷惑をおかけしました。


481 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 22:46:37.71 ID:fGKWDY8c0

妹とちゅっちゅエンドほしいれす


483 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/29(土) 22:47:47.62 ID:807Ic/lh0
一旦とは、期待させてくれる


484 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/29(土) 22:49:26.43 ID:GFxjGXz80
男がにくいです。


487 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 22:54:13.95 ID:8OQbJP710
読んでくださった皆さん、保守してくださった皆さん、アドバイスをくれた皆さん、本当にありがとうございます。
おかげさまでここまで辿り着く事ができました。
しかし、物語に終わりはありません。
この先もずっと続いていきます。
この兄妹にはどのような未来が待っているのでしょうか。



もし、この物語の続きが気になる方は…



各自でご想像ください。



でも…もう少しだけ私の妄想にお付き合いいただける方がいらっしゃいましたら…続きをご覧ください。

チラシの裏ですのであしからず…


488 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 22:58:26.54 ID:fGKWDY8c0
つづけておくれ


489 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 23:00:38.44 ID:8OQbJP710
after future

-???-


ーーッ。


どこからか声が聞こえる。


ーーッ。おいッ!


はッと我に返った。


490 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 23:01:18.78 ID:8OQbJP710
友「この荷物どこに置いときゃいいんだよ?」

兄「あ、ああ…そこのリビングの角にでも」

友「ボーっとしてないで手伝えよ。ってかお前の引っ越しだろ?」

兄「(ここは…俺のアパート)」

兄「(引っ越し…。もしかして…)」

兄「なぁ、今日って何年の何月何日だ?」

友「今日は…えーと、30日だっと思うけど…」

兄「何年の何月?」

友「はぁ? 2008年の3月だろ? なんでそんなこともわかんねーんだよ。記憶喪失か何かか?』

兄「(ああ…やっぱり…俺が新しいアパートを借りて、引っ越しの日…)」


491 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 23:02:46.25 ID:8OQbJP710
俺の手にはマフラー。


兄「(なんで持ってるんだ? これは…家に…置いてきたはず…)」

友「おいちゃっちゃと終わらせようぜ。これ終わったらお前のおごりで…って聞いてるのか?』

兄「(マフラー…妹…)」

兄「(…)」

兄「わりぃ…ちょっとでかけてくる。車借りるぞ…)」


机の上に放り出されている鍵を掴む。


友「え…兄…。おおいッどうしたんだよ!? おーいッ」


492 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 23:04:09.18 ID:8OQbJP710
俺は妙に冷静だった

それはこのマフラーのおかげなのだろうか。


兄「(…)」


自宅に到着し、チャイムを鳴らす。


妹「え…お兄…ちゃん?」


出てきた妹は少々驚いた様子だった。


妹「な、何? 何か…忘れ物?」


玄関から一歩入って、再び俺は立ち止まった。


494 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 23:07:37.90 ID:8OQbJP710
妹「お兄ちゃん…?」

兄「妹…俺は…お前が好きだ」

妹「…え?」

兄「この世界の誰よりもお前が好きだ。兄妹だからだとかそんなんじゃない。お前がお前だから好きなんだ。苦しいときも辛いときも、お前がいれば乗り越えられる。俺は…妹の笑顔をずっと見ていたい。ずっと妹の側で、同じ時を過ごしていきたいんだ」


495 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 23:08:20.09 ID:8OQbJP710
妹「…ッ!」

兄「俺の…正直な気持ちだ」

妹「お兄ちゃん…私ーー」


妹は泣いていた。

妹の大きな瞳からはポロポロと雫が流れ落ちた。

何故だろう、俺も泣いていた。

妹「私…その言葉をずっと…ずっと…」

兄「妹…ッ」


俺は妹をぎゅっと強く抱きしめーー


そこで俺の世界は真っ白に包まれた。


497 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 23:09:49.08 ID:8OQbJP710
scene27

-自宅、リビング-


兄「(ここ…は…)」

兄「(妹の…リビング…)」


机の上には置き手紙。


『おにいちゃんへ
 画材屋さんに行ってきます。
 朝ご飯は冷蔵庫にあるものを適当に暖めて食べてください。
 妹より』


兄「(妹のリビング…画材…)」


ほんの少し、嫌な予感がした。


498 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 23:10:31.46 ID:8OQbJP710
兄「(いや…まさか…な)」


しかし胸騒ぎが収まらない。


兄「(そんなこと…ないんだ…)」


Rrrrrr…


兄「…ッ!?」


電話の着信音に、俺の心臓は飛び跳ねた。


『着信:妹』


生唾を飲み込む。


兄「…もしもし」


499 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 23:11:50.06 ID:8OQbJP710
妹「あ、お兄ちゃん。起きてる~?」


とりあえず安堵した。


妹「今日のお昼ご飯何がいいかな~って思ってさ~」

兄「別に…何でも良い…よ。それより…今どこにいる?」

妹「キャンパスとアクリル買って、今お店を出たところだよ~」

兄「そ、そうか…。あのさ…車には気をつけろよな?」

妹「え? うん、わかった…けど」

兄「そうだッ。駅前のいつもの所だよな? 俺も今からそっち行くよ。だからそれまで店の中にいろよ? な?」

妹「お兄ちゃん、どうしたの? なんか変だよ~?」

兄「とりあえず中にいるんだッ。うん、俺が行くまで。」

妹「もう本当にどうーーきゃッ!」


キーッ、ガンッガシャン


500 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 23:13:27.96 ID:fGKWDY8c0
うわぁ


501 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/29(土) 23:14:59.17 ID:gmjSXBEl0
きゃああああああああ


502 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/29(土) 23:15:28.96 ID:yJp4JTVy0
妹がああああああああああああああああああああ


510 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 23:37:39.48 ID:8OQbJP710
兄「妹…?」

兄「もしもし妹ッ、大丈夫かッ!?』


ツーツー…


兄「あ…ああ…」

兄「(俺は…また…やってしまったのか…?)」

兄「(俺が妹に告白したから…?)」

兄「(…駅前の…画材屋ッ!)」


俺は部屋を飛び出した。


511 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 23:39:00.39 ID:8OQbJP710
scene28

-画材屋前-


兄「はぁッ…はぁッ…」

兄「(いない…事故の形跡も…ない)」

妹「あれ、お兄ちゃんどうしたの?」

兄「妹ッ…!」


振り返ると、そこにはまぎれもない妹が立っていた。


512 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 23:39:59.19 ID:8OQbJP710
兄「無事かッ? 怪我は無いか?」

妹「うん、私は大丈夫だよ。もう…ビックリしちゃった。自転車のおばちゃんとぶつかっちゃってさー。どっちも怪我とかなかったから良かったけど…ってお兄ちゃん、なんでそのこと知ってるの?」

兄「あ…それは…電話から音が聞こえたから…」

妹「ああッ、そうなんだよ~。そのせいで携帯電話に傷がついちゃったんだよ~」


妹は涙目で俺を見上げてきた。


兄「(妹…)」

妹「…?」


ぎゅッ


妹「え…あ…ちょっとお兄ちゃん!?」


ぎゅううッ


妹「嬉しいんだけど…でも…その…ちょっと苦しい…」


514 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 23:41:07.50 ID:8OQbJP710
兄「あ…ごめん…つい」

妹「ううんッ…あれ…お兄ちゃん…もしかして泣いてる?」

兄「え…い、いや泣いてなんか…」


だが妹の言う通りだった。

いつから俺はこんなに涙もろくなったのだろうか。


妹「どうしたの? ちょっと変だよ?」

兄「なんでもない…なんでもないから…」

妹「本当…?」


そこで俺たちは周りからの視線に気が付いた。


兄「そ、それよりもう買い物は済んだんだろ? さっさと帰ろうぜ」

妹「う、うん、そうだねッ」


518 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 23:52:40.58 ID:8OQbJP710
scene29

-桜並木の道の上で-


暖かな春の日差し


それ俺が持つよ

あッ重いからいいよぅ

重いからから俺が持つの

んー…じゃあ…半分だけ…お願いしていい?

…うん


519 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 23:55:25.86 ID:8OQbJP710
吹き抜ける柔らかい風


ねぇ…お兄ちゃん…?

どうした?

その…手…繋いで良い?

…ああ、もちろん

うんッ


520 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 23:57:16.55 ID:8OQbJP710
太陽よりも風よりも、もっと暖かくて、もっと柔らかい手の平


ねぇ…お兄ちゃん…?

ん?

えへへ…呼んでみただけ~

なんだよそれ


521 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 23:58:22.22 ID:8OQbJP710
誰よりも愛おしい妹


ねぇ…お兄ちゃん…?

…また呼んでみただけとか止めてくれよ?

違うもんッ。…あのね…ずっとこの手…離さないでね?

…当たり前だろ。お前のこと…離すもんか…。ずっと一緒に…手を繋いで…歩いて行くんだから。

うんッ


お兄ちゃん、大好き


the end


523 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/29(土) 23:59:34.69 ID:8OQbJP710
これで、私の妄想は本当におしまいです。

遅筆の私に最後まで付き合ってくださった皆様、本当にありがとうございました。

また、近いうちに、どこかでお会い出来たら光栄です。

ではでは。


※途中、予定していたイベントや設定など大幅に省いたことや、また、単純に私の文章力もありまして、説明が不足していたり接合性の無い部分、若しくは完全に矛盾・破綻している箇所が多々見受けられたかと思います。

お詫びすると同時に、もし何か挙げていただきましたら可能な限りレスさせてもらおうと考えております。


525 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/30(日) 00:00:47.32 ID:FIKYp4lH0

なして今回妹は死ななかったの


529 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/30(日) 00:03:13.14 ID:RVnfvZG2O
セクロスEndはないのかね


532 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/30(日) 00:05:51.87 ID:nKDwibYx0
>>525
運命とは一体どういうものなのか私には見当もつきませんが、
本当に幸せになれる未来を二人が選択したからではないでしょうか。

>>529
それは用意してありません。
ごめんなさい。


534 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/30(日) 00:08:07.21 ID:FIKYp4lH0
前別のss書いてた?


536 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/30(日) 00:16:38.87 ID:nKDwibYx0
>>534
今回が初めてです。
皆様にはご迷惑をおかけしました。
次回にご期待ください。


539 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/30(日) 00:23:49.95 ID:3GpHvi4CO
俺が読んでた妹SSが2つとも終わってしまった……
どっちも良作だったよ
妹「だって、その・・・・・怖いんだもん」
540 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/30(日) 00:33:48.62 ID:GyZ3wHNSO
>>1乙!


560 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/30(日) 01:26:22.80 ID:432+eQdwO
>>1おつ(゚∀゚)




213 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 22:24:36.90 ID:a1eVnHm00
こんな感じの脱出ゲームありましたね


217 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/27(木) 22:53:57.19 ID:m7dh4/1z0
>>213
よくわからないが人形のやつか?


220 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/27(木) 23:18:00.41 ID:3RNNYcAh0
>>217 ttp://www.geocities.jp/rs_life/flash/imouto/

お願い
思い出さないで


543 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/30(日) 00:39:06.79 ID:YRUe1qFe0
>>1乙


それはそうと>>220の奴がクリアできないのだが58%でつんだ


561 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/30(日) 01:32:43.35 ID:OCD4Z0lr0
くそ・・・60%で行き詰った


564 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/30(日) 02:17:08.07 ID:Loii1ph60
99%で詰んだ


565 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/30(日) 02:18:52.06 ID:nKDwibYx0
>>220
一時間半かかって何とかTrue Endを迎えました。

それでは、ご意見やご質問もないようですので私はこの辺りで…

ではでは。


570 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/30(日) 02:43:56.54 ID:0lSJfzuc0
この文体、どっかでみたことあるような…気のせいだな


571 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/30(日) 02:55:53.74 ID:O88i8DyAO
最後の質問。
>>1 あなたは女性ですか?


573 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/30(日) 03:29:28.12 ID:y6GSgeIJ0
Butterfly Effect見て書いたろww
いいENDだったお疲れ


574 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/30(日) 03:35:44.87 ID:nKDwibYx0
>>570
私は今回が初投稿なので、似たような文体の方がいるのかもしれませんね。

>>571
さて、どちらでしょうか。
ネット上での性別は当てになりませんからね。
ご想像にお任せします。

>>573
ありがとうございます。
そして、ご名答です。
独自の解釈を持ち込み、超劣化させたものです。


今、最初から読み返してみましたが中学生の文章ですね。
それでも一人前に何か言わせてもらえるのならば、
この兄妹は二人でこの未来を選んだという点を忘れていただきたくないのです。
決して兄の気まぐれや偶然などではありません。
わざわざマフラーをアパートに忘れた妹の気持ちを大切にしてあげてください。


←面白いと思ったらクリックお願いいたします。
はてなブックマーク - 妹「お兄ちゃん、私…結婚する」 [ 2009/08/30 08:45 ] SS | TB(0) | CM(1)
お気に入り記事
移転しました。
柴犬速報はこちらに移転しました。

http://shibasoku.livedoor.biz/
脱出ゲームってアレか
19.[ 2009/09/01 15:01 ] OARS9n6I[ 編集 ]
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
当ブログについて
INFOMATION
○2009/11/28
移転準備中

○2009/10/19
ベア速
VIPワイドガイド
常識的に考えた
と相互リンク、RSSをしていただきました。有難うございます。

○2009/10/04
万(よろず)箱
に記事を紹介していただきました。有難うございます。

2chlife
と相互RSSをしていただきました。有難うございます。

○2009/10/01
朝目新聞
に記事を紹介していただきました。有難うございます。

○2009/09/29
YouTubeニコニコ日和
と相互RSS、リンクいたしました。有難うございます。

○2009/09/29
うるさい黙れ(`;ω;´)
と相互RSS、リンクいたしました。有難うございます。

○2009/09/26
アップルアンテナφ(゚∀゚c⌒っ彡
にRSS回収をしていただけるようになりました。
有難うございます。

○2009/09/25
なし2
より記事の紹介をしていただきました。
オタク.com
と相互リンクいたしました。有難うございます。

○2009/09/24
音楽業界を目指す学生
千年後の君と
ニュース速報 BIP
おんこちんNEWS
と相互RSS、リンクいたしました。有難うございます。

○2009/09/23
V速ニュップ様より
サイトの紹介をしていただきました。有難うございます。
FC2カウンター


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。